2005.10.16:
 東京・飯田橋の東京都しごとセンターで、
 2005年度コミュニティケア活動資金助成プログラム
 最終公開選考会が開催されました。

 
ブログにも報告がアップされています。

 2005年度コミュニティケア活動資金助成プログラムについてはこちらから


たくさんの参加者が、全国各地から来て頂きました。写真は、事務局長のオープニングメッセージです。
コムケアの目指すもの、選考の過程を説明しました。 >>オープニングメッセージへ

最終公開選考会へ146件から選ばれた20団体の発表です。今年は北海道から沖縄まで様々な活動をしている団体が集まりました。プレゼンテーションは3分間。短いですが、皆さまそれぞれ素晴らしい発表を見せてくれました。 投票参加者は88人。結果はこちらです。


選考会の後の交流会では、コムケア仲間の皆さまのおいしい蜂蜜やパンを食べながら交流しました。

昨年度、助成先の『手がたりの会』によるマッサージも行いました。他にも過去の助成団体や、コムケア仲間の皆さんが、たくさん来てくれました。


今年は、ケアップカードによる参加費の寄付システムを導入しました。ケアップカードにはメッセージも書けるようになっていて、お金だけでない思いが伝わったのではないでしょうか。>>ケアップカードについての説明(PDF)

 

 

 2005.10.16:
 2005年度コミュニティケア活動資金助成プログラム
 最終公開選考会

 オープニングメッセージ

本日は、ご多用のところ、コムケアの最終選考会にご参加いただき、ありがとうございます。心より感謝しております。
選考会を始めるに先立ち、これまでの経緯や会の主旨などを少しお話させていただきます。

最終選考会ですので、発表する皆さんは、大変なプレッシャーだと思います。しかし、今日、発表される20のプロジェクトは、全国から集まった146件の中から選ばれたプロジェクトです。いずれも、社会に新しい風を吹き込むプロジェクトと言っていいでしょう。
そう考えれば、今日は、社会に新しい風を吹き込む、20のプロジェクトの発表会でもあります。ですから、今日は自分たちのプロジェクトを自慢するような気分で、発表を楽しんでもらえればと思います。ここに立つと、ちょっと緊張しますが、ここにいるのはみんな同じ思いを持った仲間なのだと思えば、気が楽になります。
参加者の皆さんも、むしろ新しい市民活動の動きに触れて、「応援する」という姿勢で、発表者にエールを送っていただければと思います。

ご案内の通り、このプログラムは、住友生命社会福祉事業団の支援によって、5年前に始まったプログラムです。資金助成は今年で5回目です。一昨年から東レ株式会社も支援して下さっており、2社の支援を受けて展開しています。両社ともコムケアの主旨に共感してくださり、全面的に応援して下さっています。おそらくこれほど自由にさせていただいているプログラムは他にはないと思います。
市民活動に対する資金助成プログラムはいろいろありますが、このコムケアプログラムは他とは一味ちがっていると私たちは自負しています。それについては、募集要項やホームページなどでメッセージさせていただいていますが、折角の機会ですので、改めて少しお話したいと思います。

このプログラムの目的を一言で表現すれば、各地で展開されている、大きな福祉を目指したコミュニティケア活動をつないでいくということです。
キーワードは3つあります。
まず「大きな福祉」。福祉というと、多くの人は介護や子育てなど、特別の問題をイメージしがちですが、私たちは、「みんなが気持ちよく暮らせる社会づくりに向けての活動」をすべて「大きな福祉」と考えました。
個々の問題を解決していく活動ももちろん大切ですが、私たちの生活や社会は様々なものが複雑に絡みあっています。ですから、個々の問題ごとに解決していくと同時に、それらをつなげていくことが必要です。そこで、あえて活動分野も限定せずに、できるだけ幅広く考え、安心で快適な社会作りに向けての活動を、すべて〔大きな福祉〕として捉えることにしています。
2つ目のキーワードは「コミュニティケア」です。ここに託した意味は二つあります。まず、コミュニティは「重荷を背負いあった人間のつながり」と考えました。重荷を背負いあう関係。私たちが最近、忘れてきていることかもしれません。捨ててしまった重荷の中にとても大事な宝物があったかもしれません。そんな思いもあって、改めて重荷を共有する、人と人のつながりを大事にしていきたいと考えています。
次にケアですが、ケアには、気遣いあいながらお互いに成長していくという意味があります。ケアとは、世話をするだけではなく、世話することで自らが成長する、つまり世話される結果になる、ということを実践者の方々は実感されていると思いますが、ケアは決して一方的な行為ではありません。
従って、コミュニティケアとは、「重荷を分かち合って、お互いに気遣い合いながら、それぞれが出来る範囲で汗と知恵を出しあうこと」ということになります。これを私たちは、コミュニティケア活動、略してコムケア活動と呼んでいます。

3つ目のキーワードは「つなぐ」です。そうした各地の様々なコムケア活動をつないでいく、これがこのプログラムが目指していることです。
大きな福祉といいましたが、福祉関係の活動は、目の前の問題に追われがちで、なかなかよその問題には目を向ける余裕がないのが現実です。そのために、活動が、いわゆる「タコツボ」に陥ってしまい、動きがとれなくなってきたり、唯我独尊的な活動になったりしてしまうこともあります。
むしろ自らの問題や活動を社会に開いて、違った活動と触れ合うことが効果的かもしれません。コムケア活動でも、違ったテーマに取り組んでいる団体が一緒になって、新しい物語を創りだしている事例が生まれはじめています。
そうした活動を通して、社会に、「ケアしあう文化」の風を吹きこみ、様々な活動を「大きな福祉に向けて」つないでいきたい。それによって、相互支援の輪をみんなで育てていきたいと考えています。

今日、みなさんに選んでいただく資金助成プログラムはその入り口のプログラムです。具体的には、新しいコムケア活動を始めようとしている団体に資金を助成していくプログラムです。しかし、資金助成だけがこのプログラムの内容ではありません。
このプログラムの特徴は、活動そのものに関する相談にも応じていくところです。それも資金助成の対象になったかどうかとは関係なく、参加してくださった団体には、可能な範囲で相談に乗っていこうと考えています。
もちろんコムケアセンターがすべてに応えることはできません。しかし、参加してくれた団体がお互いに支えあう関係が育てば、誰かが相談に乗っていけるだろうと考えています。それをつないでいく役割が私たちです。
そのため、応募団体には、自分たちが提供できることも登録してもらっています。つまり、支援する側と支援される側とに分かれるのではなく、相互支援の関係を作っていく。これがこのプログラムの第2の特徴です。
そうした関係を育てていくためには、参加団体が相互に情報交換や交流ができる場が必要です。そこで、サロンやメーリングリスト、あるいは各地での交流会などの場を用意しています。
こうした場で、私たちが心がけているのは、今日もそうですが、NPO関係者だけではなく、企業の人、行政の人など、さまざまな立場の人に参加してもらうことです。もちろん、障害や世代を超えた交流です。

以上が私たちの基本的な姿勢です。十分できているわけではありませんが、参加して下さった皆さんと一緒に、この考えを具体的な形にしていければと思います。

ところで、肝心の資金助成プログラムですが、今年は6月20日に募集を開始し、8月15日に締め切らせていただきました。応募数は146件でした。
地域別には、関東が多かったですが、全国に散らばっています。地方にもコムケア仲間が増えてきています。

テーマ別には、なかなか捉えにくくなっていますが、昨年に続いて今年も不登校や引きこもりなどの子どもの問題が多かったのが印象的です。高齢者の問題も相変わらず多かったです。社会はまだまだ悪くなっているという不安があります。
しかし、その一方で、在日外国人の生活支援やホームレスの支援など、関心が周りに広がってきていることも印象的でした。
昨年も申し上げましたが、応募プロジェクトを通して、社会の問題がいろいろと見えてきます。

さて、こうして集まった146件の中から、どうやって今回発表する20団体が選ばれたか、です。
まず書類による選考を行いましたが、1件1件がそれぞれの当事者にとってはかけがえもなく大事なものですので、おろそかにはできません。そこで、30人の予備選考委員を決めて、5チームに分けてそれぞれの申請書をじっくりと読ませていただきました。この予備選考には、これまで支援対象になったり、活動に参加してくださったりした人たちが自発的に参加してくれました。
予備選考で絞り込まれた41件を、次に4人の選考委員に評価してもらいました。選考委員は、それぞれがしっかりした立脚点をもった専門家ですので、その評価はかなり分かれます。そのかなり違った評価結果を持って、選考委員に集まってもらい、評価会議を開催しました。そして、最終的には事務局で20団体を選ばせてもらいました。これらの過程はホームページでも公開しています。
今日はその20件の中から、10件を皆様に選んでいただこうというわけです。

最終選考は公開の場で、応募された方たちにも参加してもらって決めていく、というのも、私たちがこだわっていることです。これについては問題がないわけではなく、批判もあります。しかし、参加した方々の相互支援の輪作りを目指す以上は、選考過程の透明性を確保していくことが不可欠です。同時に、他の団体の活動を知り合うことがとても有益ではないかと思っています。また、対象になった団体にとっては、情報発信の場にもして欲しいと思っています。

投票には、応募団体のほかに、こうした問題に関心をお持ちの方々にも参加を呼びかけました。できるだけさまざまな目で評価してほしいと思ったからです。登録された投票者は約90人で、その立場はさまざまです。
たった3分の発表で大丈夫かと思われるかもしれませんが、投票に参加していただく条件として、事前に選考資料を読んできてもらっていますので、今日はその仕上げということです。NPOに日頃触れていない方もいるが大丈夫なのかという意見もあるでしょうが、お忙しいなか、こうして集まってくださった方の思いと判断をこそ、私は信じたいと思います。そこから新しい気遣い合いの社会が生まれると確信しています。

以上が私たちの思いです。
こんなことも踏まえて、これからの20団体の発表をお聞きいただき、みなさん自身が支援していきたいものに投票していただければと思います。

ところで、これから選考会に入るわけですが、投票は予め登録してくださった方にお願いすることになっています。それ以外の方は、投票には参加せずに、発表をお聞きいただくことになりますが、発表後の拍手の大きさなどで、ぜひ意思表示していただければと思います。
しかし、それだけではちょっと物足りないかと思いますので、今年から新しい仕組みを用意させてもらいました。これについては、後で説明します。
投票者には、投票用紙を配らせてもらっていますが、どういう視点で評価していただきたいかについては、7つのチェックポイントを上げさせていただいています。詳しくは、選考資料の2頁目に書かれています。これらを参考にして、それぞれの発表をお聞きください。
どうしても、今日の3分の発表に大きく影響されるでしょうが、発表の上手下手を超えて、それぞれの団体からのメッセージをしっかりと受け止めて下さい。
投票方法は、一番共感できるものを5つ選んで、○をつけてもらいます。投票用紙には必ず5つだけに○をつけてください。5つでないものは無効票になります。7つのチェックポイントの欄は、必ずしも記入する必要はありません。5つを選ぶ場合のメモにしてください。
選ぶのはとても難しいですが、もし自分が資金提供するのであればどこを応援するかというつもりで考えるといいかもしれません。
そして、選ぶことの大変さをぜひ共有してもらえれば、うれしいです。

ところで、さきほどお話したように、今回からもうひとつの仕組みを用意させてもらいました。
それは参加してくれた人たちにも、共感できるプロジェクトもしくは団体に直接応援のエールを送ってもらう仕組みです。
今回から、この選考会への参加費を出してもらうことにしたのですが、その参加費相当分はそれぞれの思いで、共感できた団体に寄付してもらおうというわけです。詳しくは交流会の時に説明いたしますが、参加費と引き換えにお渡ししたケアップカードを、後ほど用意される団体のボックスに入れてもらえると、1枚につき1000円がその団体に送られることになります。対象となる団体は今日発表される20団体なのですが、それに加えて私たちのコムケアセンターも寄付ボックスを用意しましたので、この活動そのものに共感してくださった方はコムケアセンターに寄付してください。
ちなみに、ケアップカードは受付で、1枚1000円で購入できますので、もし一口以上を寄付したい方は、追加購入してください。また寄付は資金だけではなく、それに追加して、知恵やノウハウ、あるいは労働時間など、なんでも結構です。このカードが、参加者の皆さんとそれぞれの団体とをつなぐ役割を果たせればとてもうれしいです。

長くなってしまいました。
どうぞ、このプログラムの趣旨をご理解いただき、これからの結構大変な2時間を楽しんでいただければと思っています。
ありがとうございました。

(コムケア事務局長 佐藤修)