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予備選考委員の感想


矢辺 卓哉 さん(コムケアスタッフ)

コムケアに関わってからはじめて選考に参加しました。私の感想は、皆さんは必要な活動で大事なことをやっているという前提でのお話です。
まず、コムケアの助成金は単なる助成金ではないと思っています。つまり、この助成金を通じて各団体が何を目指し、どう発展したいのか。それにみんなが共感し、助成するのがコムケアの助成金だと思っています。しかし、各団体の申請書を読ませていただくと、団体としてこのプロジェクトを通じて何を団体として実現し、発展したいのかというのが明確ではなく、わかりにくかったです。
具体的には、申請書の「達成目標」がその箇所に当たると思うのですが、プロジェクトを実行する「目的」と団体としての「達成目標」が同じように記入する団体が多く、「目的」と「達成目標」が的確に理解している団体が予備選考で選ばれていました。
私は、NPOや市民活動はいかに共感を集めることができるかだと思っています。自分の活動がいかに素晴らしい活動をしていると思っても、客観的に自分達の活動を見てみて、振り返ってほしいと思いました。
しかし、申請書144件を読ませていただき、全国各地の取り組みを知ることができました。助成されたところも、そうでないところもこの縁を大切に、コムケアに関わってほしいと思いました。このたびは本当にありがとうございました。


青木 智弘 さん(諫早干潟緊急救済東京事務所)

本年、初めて予備選考を手伝いました。いい応募も多かったのですが、コムケア助成の趣旨などを誤解していると思われる応募も多かったです。厳しいことを言うようですが、全国各地で活動されている方々の熱い思いは伝わってくるのですが、「思い込みはダメ」という気がします。私の反省も踏まえると、人は汗をかくうちに、客観的な思いが、独善的な思い込みに変わっていくことがあります。そのような思い込みを排しながら活動を続けるのは難しいのですが、最終選考に残られた団体のみなさんも、残念な結果になったみなさんも、日々の活動を継続しながら、悪い意味での「思い込み」を排して行って欲しいなと感じました。
また、応募団体が入手している様々な情報に、明らかな地方間格差があるような気がします。大都市圏以外、あるいは都道府県庁所在地以外の団体は、活動や助成の情報過疎状況にもおかれているような気がします。そのような地域の団体の活動が、よりよい活動を目指すために、情報入手等をするのは中々むずかしい状況なのかなあ、と思われますが、シーズ=市民活動を支える制度を作る会や、助成財団センターのホームページ等を活用しながら、さまざまな情報を入手し、また、よりよく学ぶことで、全国の活動がより良くなると素晴らしいなと思っています。


小山 美代 さん(社会福祉士)

毎日のように虐待や子どもの事件が後を絶たない。子どもが健全に育ちにくい、そして育てにくい日本といえる。この社会環境を変えなければ、日本の明るい将来は期待できないと思える。今回の提案は、子育て支援のテーマのなかでいくつか評価できるものがあった。たとえば、子育てに不安を感じているママにカウンセリングの研修や子育てサークルの組織や事業の運営に関する支援である。中には、つぎの世代にバトンタッチできるものを目指した提案もあり、これからの発展が期待できる。
つぎに、「食」について−。伝統的な食文化が崩れており、24時間オープンのコンビにでは、いつでもパンやおにぎりを買うことができる。そのため、家族と共に食事をしなくなり、子どもたちの個食が増加している。コンビニの食べ物は画一化しており、コンビニ中心の食生活では豊かな味覚も、そして個性も育たないであろう。創作料理や伝統的な料理をお年よりたちと楽しもうという試みはユニークである。お年よりにとっては郷土料理を伝承していくことは、生きがいの創出にもなる。核家族でお年よりと触れ合う機会が少ない子どもたちには、このような「食」を通しての関わりも意義があるにちがいない。
ところで、全国のあちこちで様々なコラボレーションが芽生え、着々と拡がっている。たとえば、障害者団体同士のネットワーク、都市部と農村部、子どもと高齢者など、今までアンマッチングと考えられていたものが、うまく結びついて新しい風が生まれている。
一方、高齢者は保護され、弱い立場の人たちというイメージであったが、今回の提案を読み、何か異質のものを感じた。元気でアクティブな高齢者たちは、自己主張し、生活の質の向上をめざした活動を進めている。
コミケアの活動には、元気な高齢者がどんどん参画し、培ってきた知見を活用してほしい。それにより、いっそう柔軟で幅広く、地域に根ざした市民活動となっていくであろう。


東 孝次 さん(NPO法人まちよそ)

予想どおり難しい審査でした。いずれの活動も社会性がありその重要性を十分理解することができました。しかし、すべてを推薦する訳にはまいりません。では、どう区別するかです。ここから苦渋が始まるのです。申し訳ありませんが、私自身の嗜好によるしかありません。審査基準によることは申すまでもありませんが、申請者の意欲が伝わってくるか、多くの人が繋がっているか、助成金の使われ方に必然性があるかといった観点からも審査させていただきました。それにしても、熱心な取組に優劣をつけることは、至難の業ですね。
今回の審査を通じて、審査員に分かってもらえる申請書を作成することの難しさも痛感しました。昨年応募させていただきましたが、よく厳しい審査委員の目を通ることができたなと恥ずかしい思いもしました。昨年の審査員の皆さんに感謝の気持ちで一杯です。
全国には実に様々な活動が展開されているなと、今更ながら感じました。こんなにすばらしい人たちがいるのに、どうしてもっと暮らしやすい世の中にならないのでしょう。


横尾 徹也 さん(UDくまもと補助犬サポーター)

 私は30件を担当しましたが、すべての申請書で情熱が感じられ普段から本当に一生懸命に活動に打ち込まれていることがすぐわかりました。
ただ、申請書を見て選考する過程で「惜しいなぁ」と強く感じました。わずかA4の2枚程度で団体の概要、活動実績、プロジェクトの目的・目標・概要の全てを表現することは至難の業であることは解ります。しかし、限られた紙面の中で、自分達の団体が目指してきたもの、活動してきたものを明らかにして、直面した課題解決のために今回のプロジェクトを是非実施する必要があり、実施の際のノウハウ等は他の団体等の参考になる、それを十分に誰にでも解るように訴えるべきだと考えています。
残念ながら全ての申請が十分には書ききれてなかったように感じました。
自分の思ったことを表現することは難しいことですが、せっかくの熱意も努力も正しく伝わらなければ評価されません。今回はそのことを強く感じました。
最後に、今回の選考機会を通してたいへん勉強になりました。機会を与えてくれた皆さまに感謝の意を表してコメントとさせていただきます。


太田 敬雄 さん(国際比較文化研究所)

評価してみて、申請する立場と評価するものの見方の違いを少し感じています。2年前、私も助成の申請をして落とされた事がありますが、あの申請はもしも今現在の私が評価していたら、きっと落としただろうと感じています。
それにしても、この評価は難しくて、大分迷いました。評価基準など、結構明確に定められていたと思うのですが、「一つの評価を出す」ということはむ大変難しい作業ですね。そして、内容以上に申請書の書き方に左右されてしまうものですね。
先進性、発展性は当然「やってみたけど駄目だった」ということになるリスクを負うことを意味しているわけでしょう。しかし、現実には評価する時にはつい、そのリスクの無いものを選ばなくてはいけないような気分になってしまうものですね。
そのリスクを負っても助成してみたいかどうかは、本当は書類だけでは不十分で、企画している人の「目を見て判断する」部分が必要ですね。その意味で最終の選考会の重要性を再確認させられました。


飯沼 勇一 さん(潟Aド・エンジニアーズ)

毎回そうなのですが、選考に当っては大変難儀をします。応募者の皆さんの熱い思いを肌で感じるからです。今回も同じでした。どちらを推薦すべきか、迷うことの連続でした。しかし今回は前回と違うように感じたことが一点ありました。それは、事業計画書の中に「何としても」という熱い思いを書き込んでいるものが、前回より少なくなったのではないか、という点です。行政にも出来ない。企業にも出来ない。NPOだけしか出来ないことをやる。そういった領域が段々狭まってきているのかもしれません。考えてみれば、施行以来4年。NPOの数も1000をはるかに超えています。まったく新しいものは難しいのかも知れません。しかしここはチエの出しどころ。皆が膝を打つやり方があるはずです。選考には、そういう視点も加えてみました。いまおやりの活動にも、チョッとだけ工夫をすれば新しい領域になりそうなプロジェクトが沢山ありました。NPOもチエと差別化の時代といえそうです。


平野 幸子 さん(明治学院大学社会学部付属研究所)

30部申請書が送られてきたときは、ややや〜大変なことに手を挙げてしまった・・・と焦りモードでした。が、読ませていただき、わくわくしたり、夢を見ているようだったりで、楽しい時間になりました。全国には、こんなにいろいろな「大きな福祉」を描いている方たちがいるのですね。そういう意味では、予備選考とはいえ、自分の必ずしもニュートラルとは言い切れない選考に、申し訳ない気持ちにもなりました。積極的に偏ったつもりはもちろんありませんが、自分の実践から近いプロジェ
クトにはどうしても期待が大きくなったように思います。また、当たり前ですが、書類からの選考の限界もあるのだろうなとも感じました。どうしても、計画や予算から事業がどう立体的になるのだろうかと想像を巡らしますので、書類の書き方として具体的でなければ、おもしろそうと思っても、立体像が浮かばないので押せませんでした。でもこれは、計画を文字化せずに始まることはないだろうことを考えると、書類上で他者に伝わるよう記すというのは、プロジェクトに取り組む上での必要なスキルということなのかもしれません。逆に、立体像が浮かんだプロジェクトについては文字化で終わらないことを祈り、それを様々な立場の者が応援したりしあったりすることが必要なのだろうと改めて思いました。市民活動を直接行っている立場ではありませんが、その端っこくらいのところで関わりを持てていることに、今回は本当に幸せを感じました。ありがとうございました。

PS.夢を感じさせてくれたプロジェクト、機会をぜひ作って現地を訪ねてみたいと思いました。


佐藤 隆 さん(コムケア応援団)

コムケア理念に沿ったものが少なく、これといったものが無かった。事業基盤が整備されており、しっかりとした活動を推進しながらも、もらえる助成はもらいたいと伺えるものがあった。


藤澤 浩子 さん(よこすかパートナーシップサポーターズ)

コムケアの「大きな福祉」という理念は、言い換えれば"well-being"を意味していると思います。様々な分野の活動を通して、みんなが幸福を感じて生きられる社会の実現を目指している方々が、日本中にたくさんいることが実感でき、とてもうれしく思いました。日頃の活動のご様子が目に浮かぶような記述が多く、申請者の熱意が伝わってくる中、一定数を選考するのは辛い作業でした。予備選考では、団体概要と申請プロジェクト計画書のみをもとに評価選考作業を行います。申請書によっては、もう少し詳しい情報を拝見してみたいと思うものがありました。また、いくつかの申請書では、支出計画金額の計算ミスや、プロジェクト概要等の誤字が気になりました。こうした点は、書類が完成したら、第三者に見てもらうなどして再点検すると、応募前に発見できるでしょう。今回の入選落選に関らず、応募団体の皆様の活動が大きく発展しますように。


橋本 典之(コムケアスタッフ)

コムケアスタッフとなり、2度目の資金助成プログラム。今回は、前回と違い一部の申請書に関わらせて頂きました。前回と同様、選考作業は、とても難しく、申し訳ない気持ちになりつつも、申請書から伝わる全国からの熱い思いに元気をもらいました。
コムケアに参加し始めて1年半ほど経ちましたので、様々な活動を知ることができましたし、コムケアの理念の理解も深まってきました。今回は、その経験をもとに申請書を読ませて頂きました。
選考をしていて、とても残念だと思うのは、団体の理念がとても素晴らしいのにプロジェクト自体が一回だけの単発イベントのみの計画しか書いていないところが多かったことです。選考基準の中に<発展性:一過性のものではなく、継続的であり発展が期待されること>というのがあります。単発イベント自体がいけないと言っているのではなく、そのイベントから今後どのような展開をしていくのか?それを申請書のプロジェクト計画書に含めて頂きたかったのです。実際にお会いして話しを聞けば、おそらくその視点は含まれているのだと思いますが、申請書からしか伝わらないので、その点が残念でした。
しかし、限られたスペースで思いを伝えることは、容易なものではないと思います。ただ、この思いを伝えるというスキルは、助成金をもらう時だけなく、大切なものだと、予備選考に関わらせて頂く中で強く感じました。それと同時に、プロジェクト名の大切さも感じました。一行・数十文字の言葉が大きな膨らみと輝きを持っている申請書がいくつかありました。
予備選考は、終わりました。次は、10月31日に行われます『最終選考会』です。144団体の中から選考に残った20団体がプレゼンテーションを行います。最終選考会は、参加する皆さん一人ひとりが、選考委員ですので、皆さまの参加をお持ちしております。