■第1回討議型コムケアフォーラムの報告

案内文

2009年4月19日、「NPO新時代」の著者、田中弥生さんを問題提起者にした、討議型コムケアフォーラムを開催いたしました。
21人の方が参加し、「NPO活動が育む市民性(社会性)」について、意見交換が行われました。
最初に、田中弥生さん(独立行政法人大学評価・学位授与機構准教授)からテーマに沿ったお話をしてもらいました。

田中さんは、NPOの役割には2つあるといいます。
「社会サービスの提供」と「市民性創造」です。
そして最近の日本のNPOの動きは、市民性創造の面が弱くなっているのではないかといいます。
その現われの一つが、寄付活動とボランティア参加者の停滞です。
社会的企業が最近話題になってきていますが、
それに関しても考えるべき点があるのではないかと、いろいろと具体的に話してくれました。
そして最後は、社会サービスとともに「市民性創造」という重要な使命をもった民間非営利活動(市民活動・住民活動)こそが、これからの日本社会を支えていくと締めくくりました。

とてもわかりやすくて、説得力がありました。

その後、社会起業家でもある田辺さんとボランティア要素を大切にしている全国マイケアプラン・ネットワークの島村さんから感想を述べていただき、そこからみんなでの話し合いになりました。
田辺さんは、社会起業家の原点である「市民性・社会性」の重要性を改めて考えてみたいといい、島村さんは活動を通してみんながどんどんその世界を広げ、違った分野での活動を始めていっていると自分たちの活動を紹介してくれました。

田辺さんの発言に促されて、なぜ市民活動に参加したのか、そして自分の市民性の質は変わってきたのか、という話をみんなが始めました。
それぞれに感動的でした。
市民活動、NPO活動は決して誰かのためではなく自分のためであり、自分を含めて、みんなが気持ちよく暮らしていける社会にしていく、自分たちの活動なのです。

NPO活動になかなか人が集められないという発言もありましたが、多分、「集める」という発想に原因があるような気がしました。
時間の関係で、この問題は十分には掘り下げられませんでしたが、ここにこそもしかしたら本質的な問題があるのかもしれません。

田中さんが、昨今の日本の社会にかなりの危機感を持っていることも伝わってきました。
私たちみんなが、もっと市民性(社会性)を高めていけば、社会も変わっていくでしょう。
こうした議論こそが、各地でのNPOの集まりで話し合うべきテーマだろうと思います。
どうしたら助成金をもらえるとか、参加者を増やせるとか、そんな議論が多すぎる状況の中で、今回のフォーラムはとてもコムケア的で企画して本当によかったと思いました。
田中さん、そして参加してくださった皆様、ありがとうございました。

このスタイルのフォーラムをまた開催したいと思います。
どなたかテーマ設定者や問題提起者になってくれませんか。
事務方はコムケアセンターのほうでやらせてもらいますので。

(報告:コムケアセンター佐藤修)