京都「成年後見」支援センターNPO法人 ユニバーサル・ケア(京都府京都市)

団体紹介
京都「成年後見」支援センターは、家族・親族が後見人となることをお薦めし、その後見人の実務を支援する活動を行ってきました。これからは、誰もが安心して利用できる成年後見人引受法人の設立にチャレンジします。

ホームページ
http://www.kyoto-koken.net/

プロジェクト名

NPOと地域福祉事業者との連携による成年後見引受事業の実現

目的
多くの人が潜在ニーズを抱えていながら、制度発足から5年経ってもほとんど普及しないのは、使いやすく安全な「成年後見」引受の仕組みがないからです。複数のNPO法人・団体が後見人の責任・役割・権限を分担する方式を導入し、相互の協力と牽制機能によって、高齢者に対するきめの細かい見守りと安全で公正な財産管理が廉価で提供できる新たな成年後見事業モデルを確立し、成年後見制度の利用拡大を図ります。

達成目標
新たな成年後見引受事業モデルが、その機能を果たし評価されて、全国各地で共通の手法による事業展開が広がり、それによって成年後見制度の利用者数が現在の10倍となることを目指します。

活動計画

現在、成年後見人は多様な責務を負いながら報酬が低いため、なり手が少なく、一方依頼する方には、「費用が高い」「安全性・継続性に不安がある」ということで利用が拡大しません。

成年後見制度では、一人の利用者(高齢者)に複数の後見人を付けることができるので、新事業モデルでは二つの法人・団体が同時に後見人を引き受け、さらに地域の福祉サービス事業・グループホームなどに業務の一部を委託します。二つの後見人引受法人・団体は主に受託財産の管理を担当しますが、預かった財産(口座)からの出金は、両法人の合意がなければ出来ない仕組みを採用し、悪用・流用を完全に防止します。

その運用にはインターネット銀行と郵貯・地銀などの既存サービスを活用し、後見人法人の手を経ずに、安全・確実に本人(高齢者)にお金が届く仕組みを採用します。

また、後見引受法人・団体は、地域の居宅介護サービス事業者やグループホームに、本人の生活の見守りの役割を委託します。成年後見人は「本人の生活の見守り」と「財産等の管理」という大きな責任分野がありますが、新事業モデルでは、身寄りのない高齢者・家族と離れて生活する高齢者でも、常に適切な「見守り」を受けながら、安全な「財産管理」のサービスを受けることができます。

また、NPOが中心となって運営し、ネットワークを活用した後見人業務を展開することで、事業コストを引き下げ、廉価な利用料でサービスを提供できます。


活動報告

[現在の進展状況] 2006.2.28

・昨年12月に、成年後見引受のためのNPO法人定款変更を、京都府に申請いたしました。もう間もなく、認証を受けて登記手続きを行う予定です。

・このプロジェクトにつきましては、実現に向けて関係する金融機関などと折衝中です。(財産管理のための別法人設立に関して)

・昨年末までに、協力を申し出ていただいた金融機関があり、良い方向には向かっておりますが、当方のプランに沿って成年後見引受が始まった後に、不祥事が発生した場合の金融機関としてのリスクを回避できるか、という点で懸念があり、足止め状態となっております。

・2月23日に、金融機関から定期的に発行される「金融調査情報」の成年後見問題の特集版が発行されました。この冊子は、全国の信用金庫及び関連会社・団体に配布されます。内容は成年後見制度についての詳細紹介と、金融機関がこの問題に取り組むことの重要性を訴えるものとなっています。

・金融機関の方には、何度か京都に来ていただき意見交換を重ねて、発行されました。本来は当地の金融機関の支援が正式決定しておれば、コムケアセンターで発表させていただいた内容を中心に掲載される予定でしたが、次回に見送りとなりました。ただ、金融機関の基本的な理解はいただいており、今後、リスク回避の対応など、協議を重ねて、前進させたいと考えております。

・また、全国の金融機関の中には、先進的な考えで地域活動やNPOの支援を積極的に行っているところもあり、今回の情報発信の反応があるものと期待しています。

・奈良市に拠点をもつ福祉事業者さんでは、市会議員さんを通じて、本プランの提案が市当局になされる予定で、その結果を踏まえながら、奈良の金融機関にも協力を要請する予定になっております。

・1月末に、当方の活動と意見が、京都新聞に大きく取り上げられて、京都府の社協などとも連携がうまく行くことになりました。

・正式決定ではありませんが、11月から活動を開始する「司法支援センター」のサービス機関のひとつに登録をしていただく予定になっております。地域包括支援センターとの連携も進めていきたいと考えております。

・成年後見普及活動につきましては、財団法人シニアルネサンス財団のご支援を受けて、「成年後見アドバイザー養成講座」および「市民後見人養成講座」を京都および大阪で開催することとなり、一部は当方の主催で、一部は講師としてセミナーを行うことになりました。


[これからの展望]

・今月中に定款変更の認証を得て、また、金融機関関係者のかたのご支援も得て、なんとか4月までに、プロジェクトのスケジュールを固めたいと思っています。それなりの財政支援をお願いしておりますが、そこはまだ未確定です。

・プロジェクトの名称を、「市民後見センター」といったものに変更し、家族・親族で後見人を引き受けている人も、当プロジェクトの財産管理の仕組みを利用できるようなものにしたいと考えております。スケジュールは、上記の進捗次第ということになります。